気象庁は5日午後8時から臨時の記者会見を開き、大型で非常に強い台風10号が伊勢湾台風級の勢力で6日夜の初めごろから夜遅くにかけて、鹿児島県(奄美地方を除く)に接近・上陸するおそれがあるとして、「6日午前に台風の特別警報を鹿児島県に出す可能性がある」と発表した。台風の特別警報が発表されれば3例目で、沖縄以外では初。 記者会見した気象庁の中本能久予報課長は「6日昼過ぎには暴風域に入る見込み。家が倒壊するおそれもある猛烈な風が吹く見込みなので、その前に頑丈な建物の中に移動を。また、洪水や高潮の浸水想定区域や土砂災害警戒区域などでは、暴風が吹き始める前の6日午前中に避難することが重要」と強く呼びかけた。 ただ、鹿児島県以外の地域でも記録的な大雨・暴風・高波・高潮となるおそれがあり、最大級の警戒が必要だ。中本課長は「自分のところは特別警報が出ないから安心、という考えは捨ててほしい」と強い口調で話した。 台風の特別警報は「数十年に一度」の強度の台風によって、暴風・高潮・波浪になると予想されるときに発表する。「数十年の一度」の強度は、具体的には1959年の「伊勢湾台風」級(中心気圧930ヘクトパスカル以下または最大風速50メートル以上となる(ただし、勢力の強い台風の襲来頻度が高い沖縄・奄美地方および小笠原諸島は中心気圧910ヘクトパスカル以下または最大風速60メートル以上)。台風10号は930ヘクトパスカルで鹿児島県に接近、上陸するおそれがあるとしている。 このような台風が上陸するおそれがあらかじめ予想される場合、気象庁は24時間程度前に記者会見を開催し、台風接近時の暴風や大雨などによる災害に対して極めて厳重な警戒が必要であることを呼び掛けることにしており、午後8時からの臨時の記者会見はこれに当たるもの。台風の特別警報そのものは、実際に発表基準を満たした台風がやってくる12時間前をめどに発表される(予想できない場合もある)。 中本課長は「大雨、暴風、高波、高潮。すべての要素で記録的なことが起こる。十分に注意してほしい」と話した。 台風10号は5日午後6時時点で、南大東島の南約90キロを時速15キロで北北西に進んでいる。中心の気圧は920ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートル。
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