台風10号は6日午後、非常に強い勢力で、九州を暴風域に巻き込んで北へ進んだ。気象庁によると、九州の西岸付近を北上し、7日午前には朝鮮半島に達する見込み。台風が離れた後も、広い範囲で大雨などに警戒が必要という。
気象庁は、6日午前に台風による特別警報を鹿児島県に出す見通しと発表していたが、勢力が予想よりわずかに弱まったため見送った。ただ、中本能久・予報課長は6日午前の会見で、記録的な大雨や暴風の予想は変わっていないとして「特別警報が出るか出ないかに関わらず、最大級の警戒は怠らないで」と呼びかけた。
台風10号は6日午後5時現在、鹿児島・屋久島の西南西約70キロを北へ時速約35キロで進んでいる。中心気圧は945ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル。
6日午後5時までに、鹿児島県の島嶼(とうしょ)部などで走行中のトラックが横転するような暴風に見舞われた。最大風速は喜界町で30・7メートル、屋久島町で30・4メートル、十島村で29・0メートルを観測した。非常に激しい雨も降り、十島村では1時間で71・0ミリ、宮崎県延岡市で61・0ミリを観測。6日午後5時までに、宮崎県えびの市と美郷町で24時間降水量が300ミリを超えている。
国土交通省によると、九州南部を中心に、国管理の大きな河川で氾濫(はんらん)の危険が高まっている。特に、7月豪雨で大きな被害が出た熊本県・球磨川を含む九州南部の六つの河川では、河川の整備計画の基準を超える雨量が予想されており、特に警戒を呼びかけている。
氾濫の危険が特に高いとされているのは、鹿児島県の「肝属川」、宮崎、鹿児島両県を流れる「川内川」「大淀川」、宮崎県の「小丸川」「五ケ瀬川」、熊本県の「球磨川」。
このほかの河川でも氾濫する危険があり、国交省は「暴風も予想され、川の水位が上がってからでは逃げられない。暴風域に入る前に避難して欲しい」としている。
台風は7日に九州から離れるが、九州北部では同日朝まで雷を伴った猛烈な雨となり、夕方にかけて一部の住宅が倒壊する恐れがあるほどの猛烈な風が吹く見込み。四国や近畿、東海、関東甲信の太平洋側を中心に、台風に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、7日も大雨となる恐れがある。
7日午後6時までの24時間降水量は多いところで、九州南部500ミリ、九州北部と東海400ミリ、四国350ミリ、近畿250ミリ、関東甲信と奄美200ミリ、中国180ミリの予想。7日にかけての最大風速は九州南部45メートル、九州北部と奄美40メートル、中国と四国25メートル、近畿23メートル、沖縄20メートルと見込まれている。
安倍晋三首相は6日夕、台風10号に関する関係閣僚会議で、「広い地域でかつてない記録的な大雨、暴風、高波、高潮となるおそれがあり、最大級の警戒が必要だ」と語った。警察や消防、海上保安庁のほか、自衛隊も即応態勢を取っているとし、自治体などと連携を強化して対応するよう閣僚に指示した。(山岸玲)
■中心気圧が低かった台風(19…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル