教室で男子生徒が別の男子生徒を執拗に殴る動画。これは、熊本県内にある私立高校で今年8月末に撮られたものだ。学校側によると、映っているのは同じクラスに在籍する2年生の男子生徒たちで、動画はそのうちの1人が撮影し、SNSに投稿したという。 【映像】拡散された“いじめ”動画 この動画は一気に拡散され、SNS上では殴った生徒に対する誹謗中傷のほか、学校名や名前などの個人情報の書き込みも。インターネット上のトラブルに詳しい藤吉修崇弁護士は「動画をあげた人が一番の問題」とした上で、リツイートなどで拡散する行為についても問題点を指摘する。
「この動画をあげること自体が名誉棄損、もしくはプライバシー、肖像権などの侵害になる可能性はある。それをさらに拡散したり特定したりすることによって、より多くの事実を周知させたりするので、当然その行為自体も違法になる」 さらには、個人情報の特定をあおるような書き込みや、動画に映っている生徒本人と思わせるような名前のアカウントまで出現。藤吉弁護士は「名誉棄損の可能性もある」と話す。
「(本人と思わせるような名前のアカウントについて)周りが本人と信じるかどうかだが、裁判上では一般の読者(SNSのユーザー)を基準とすると言われている。一般読者から見て『これは本人が書いているんだな』と思うようなものであれば、それによってその人の名誉、社会的な評判が落ちるといったことであれば名誉棄損になる」 動画について、学校側は9月24日に外部からの連絡で初めて動画の存在を把握し、「いじめの可能性も否定できない」として現在調査を進めている。 この動画の拡散について、SNSや性格診断サービスをプロデュースしてきた元IT起業家で作家の関口舞氏は、「見た瞬間に“酷い、許せない”という気持ちになって、被害者を守りたいという気持ちから反応し、拡散して広がっていくと思う」とコメント。
一方で、動画が切り取られている可能性もあると指摘。「一方的に殴られている部分がすごく拡散しているが、ネット上にはその前に違う第三者が出てきているような部分もある。全体を最初から最後まで見た場合と、拡散しているものだけを見た場合で若干印象が異なる。これが本当にいじめなのか、喧嘩なのか、正直よくわからない」と疑問を呈した。 動画がSNSに投稿されてから学校側が存在を確認するまでに約1カ月。関口氏は、助けを求める先がインターネットより手前にあるべきだという。「本当にいじめが起こっていて、本当に助けたいと拡散したとして、この動画がネットに残り続けるとなると被害者も嫌だと思う。正義感によるものだとしても、他に助けを求める先が必要だと思う」と述べた。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース