日本棋院は囲碁を「国技」とする定款変更を行った。低迷する囲碁人気の回復策として、広く世間に認知してもらい、普及を促す狙いだ。棋院の目的を記す定款第3条の「我が国の伝統文化である棋道」を「我が国の国技であり伝統文化である棋道」に改めた。
1400年以上前に中国大陸から伝わったとされる囲碁は、日本で独自の発展を遂げた。江戸時代には徳川幕府が保護奨励し、プロ棋士を抱える家元制度が確立。庶民にも広まり、19世紀の名人、本因坊丈和は自著の打ち碁集を「国技観光」と名付けた。
プロ界でも日本は長く最強国だったが、現在は中国、韓国に対して劣勢に立ち、囲碁人口も1千万人以上いたとされる1980年代をピークに減少に転じた。現在は約200万人という調査データもある。
人気低迷に危機感を強める日本棋院は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を、囲碁を国技としてアピールする好機と捉え、定款変更に至ったという。
日本では相撲が国技とされているが、公的に認定する法令はない。(大出公二)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル