夜、山の上にあるベンチには何かを待つカップルの姿があった。野外ライブ? レーザー光線が示す先にはいったい何が?
10秒のカウントダウンが終わると、一斉に照明が落ち、頭上にキラキラと天の川が広がる。「うわぁー!」。芝生の上に寝転がった人たちから、星空に届くような歓声が上がった。
長野県阿智村の富士見台高原。阿智村は「日本一星空がきれいな村」だ。2006年、環境省が実施していた夜空の明るさ(暗さ)を調査する「全国星空継続観察」で、全国で最も星の観測に適した場所として認定された。人口わずか6千人ほどの小さな村で、夜には星空を観賞するツアーが催され、19年に年間約16万人が来場するほどの人気を集めている。
元々は「昼神温泉郷」として温泉を売りにしていた。バブル景気の頃は社員旅行などで人気を集めたが、景気が悪化するにつれ、観光客も激減した。
星空を売り出したのは、旅館従業員だった松下仁さん(42)ら村内の3人。11年、客を増やそうと打開策を探っていたある日、村のスキー場の従業員から「宿直で山の上にいると、ふと見る星がきれいなんですよ」と聞いた。その夜、3人でスキー場の高原に登った。満天の星。都会にはない光景と気付いた。
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約1年後にゴンドラで15分ほ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル