東北電力の女川原発が、地元同意を経て再稼働へ向かう。東日本大震災で被災してから来春で10年。地元はなぜ同意するのか。事故への備えは十分か。
女川原発をめぐる地元の動きを政府は歓迎する。経済産業省の幹部は「この1年、宮城県に足しげく通った」と振り返る。
女川2号機は、震災時に事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)だ。西日本に多い加圧水型炉(PWR)は震災後に5原発の計9基が再稼働したのに対し、東日本に多いBWRは1基も動いていない。
BWRは、再稼働に向けた原子力規制委員会への申請や審査に時間がかかっている。新規制基準で、放射性物質を減らしながら蒸気を放つフィルター付きベントの設置などを義務づけられた。原子炉格納容器がPWRより小さく、大事故の際に内部の圧力で壊れないようにするためだ。
政府は2030年度の総発電量に占める原発の割合を20~22%と想定する。達成には30基ほどを高い稼働率で動かす必要がある。国内の原発は建設中を除き33基。うち17基がBWRだ。
そのBWRでは、女川2号機のほか、日本原子力発電の東海第二(茨城県)や東電の柏崎刈羽6、7号機(新潟県)も新基準への適合を認められている。
福島の事故対応費を工面したい政府は東電の柏崎刈羽を重視するが、地元新潟県が同意するめどは立ってない。安全性について専門家でつくる検証委員会にはかっており、新潟県の花角英世知事は「検証が終わらない限り再稼働の議論はしない」としている。(伊藤弘毅、長橋亮文)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル