財政赤字の拡大を容認する「異端」の理論として議論を呼んでいる「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論、現代貨幣理論)の提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が来日し、16日東京都内で講演した。自国通貨を発行している日本や米国は、税収による財政的な制約を課されることはないと主張。「財政赤字は悪でも脅威でもない」「債務の大きさにまどわされてはいけない」と訴えた。
ケルトン氏は、税収が財政の制約ではなく、インフレ率が制約になるべきだと主張。たとえば日本は2%のインフレ目標に達していないので、さらなる財政支出の余地があるとし、「もっと積極的に財政政策を活用して、減税で成長を下支えした方がいい」と述べた。財政赤字に対する見方を変えることの重要性も強調。「政府の赤字は、非政府部門にお金が注入されることであり、所得や雇用を増やす」とも語った。
MMTは、税は税収を得るために課されているのではなく、「所得を誰かから奪うもの。支払い能力を減らすために課す」との考え方をとるという。そのため、消費税については「消費増税の目的は消費支出を減らすことで、インフレを冷やすなら理にかなっている。だが、インフレ問題を抱えていない国にとっては意味がない」とし、政府が10月に予定する10%への消費増税に否定的な考えを示した。
ケルトン氏を招いたのは、安倍政権で参与を務めた藤井聡・京大大学院教授(公共政策)ら。左派系で参院選では野党候補らを支援する松尾匡・立命館大教授(理論経済学)も加わり、「反緊縮」の学者が立場を超えてMMTの理論家を招く異例の形となった。
出会いはネット上「腑に落ちた」
経済の専門家からは「異端」扱いされるMMTだが、それを支持する人々も現れている。
東京都練馬区の30代男性は半…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル