この秋、1年の育児休業を終えて職場復帰した男性を待っていたのは、上司が用意した「始末書」だった――。妻の出産直後の「男性産休」制度創設など、男性の育休を推進する議論を政府が進める一方で、一部の現場では、いまだ歓迎されず、会社人生の大きなリスクとさえなる現実があるといいます。
「会社に多大な損害を与えた」
「後悔はしていない。でも育休を取ったことで、人生の歯車が狂ってしまった」
中部地方に住む会社員の40代男性は、この秋まで1年間の育児休業取得をこう振り返る。
妻の妊娠が分かったのは昨年の春。個人事業主で顧客もいる妻のキャリアを考え、産後の育児を自分が主体で担おうと決めた。
勤め先は、従業員50人未満。ほとんどが男性社員で、男性の育休は前例がないとは聞いていた。だが、仕事と家庭の両立ができる企業という政府の表彰も受けていて、淡い期待もあった。
しかし、人事担当部長との面談で期待は裏切られる。
「男が育休を取るのはおかしい」。部長はまずそう告げ、男性が食い下がると「法律を盾に取ると言われれば取らせるしかない」と苦々しげ。別の機会には会社幹部に「迷惑をかけてすみません」と謝罪することなどを命じられた。
今秋、職場復帰した際は、「始…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル