熊本県は24日、7月の記録的豪雨で甚大な被害が出た球磨(くま)川流域市町村の「復旧・復興プラン」を発表した。蒲島郁夫知事が治水方針を転換し、国に求めている「流水型」ダム建設などの治水対策を挙げたほか、一部不通が続くJR肥薩線などの交通インフラの早期復旧を掲げた。
この日は、5年以内に完了・着手する取り組みと、5~10年後を見据えた取り組み(将来ビジョン)を提示。一方で、具体的な工程表は示さなかった。
プランは「生命・財産を守り安全・安心を確保」「球磨川流域の豊かな恵みを享受」を基本理念に据えた。「愛する地域で誰もが安全・安心に住み続けられ、若者が残り、集う持続可能な地域の実現」を目指す。治水対策を土台に、住まいの確保やなりわい創出、災害に強い社会インフラ整備、地域の魅力づくりに取り組むとしている。
治水対策では、「住民の命と清流をともに守る」手立てとして「新たな流水型のダム」の推進を明記。緊急対策として球磨川支流を含む河道掘削や堤防整備などを盛り込んだ。雨水を一時的に水田にためて河川への流入量を抑える「田んぼダム」も農家の協力を得て実験し、普及をめざす。
住まいの確保のため、かさ上げによる宅地の再生を支援。土石流で堆積(たいせき)した土砂の活用も検討するという。住民の意向を踏まえ、高台への集団移転も支援する。浸水で14人が犠牲になった球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の被害を念頭に、介護施設などで垂直避難用エレベーターやスロープ、避難スペースの設置なども進める。
球磨川に沿って走る肥薩線は豪…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル