今春に武蔵野支局に赴任してすぐ、緊急事態宣言が出た。外での取材がままならない時期、ツイッターで出会ったのが、井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)のリスたちだ。なにげないしぐさにくすりとさせられた。在宅の日々にうるおいをくれた小動物と、動画の撮影者に会いに行った。
子リスが細い枝の上でリンゴを食べている。ふいにバランスを崩す。あっ! 一瞬で立て直し、何事もなかったようにかじり続ける。
「観(み)ているとかゆくなります」。そんな投稿に誘われてニンジンをかじる動画を再生すると、やがて後脚で頭付近をはらい始める。なんだ? 蚊のような羽虫が多数まとわりついている。うっとうしそうなのに、食べるのを止めない。一心不乱な愛くるしさに、私はつい、笑ってしまった。
園の公式アカウントで最も頻繁に登場するのがニホンリスだ。撮影と文章を担うのは、担当飼育員の井上智右(としあき)さん(55)。3年半前まで、教育普及担当として園内のさまざまな動物の姿を発信してきた。飼育員に戻ってからも、その腕前で担当する動物の撮影を任されている。
「ツイッターにリスの写真をたくさんアップするようになってから、望遠レンズを抱えたお客様がすごく増えた印象があります」
謙遜しつつ、そう話す。
この園は、四つある都立の動物…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル