希少で高価なイワシクジラの生肉が1日、仙台市中央卸売市場(仙台市若林区)で競りにかけられた。同市場で取引されるのは45年ぶりだという。仲買人ら約50人が集まり、脂がのる「尾肉(おにく)」には他のクジラの倍以上となる1キロあたり5万円の最高値がついた。
商業捕鯨は昨年、31年ぶりに再開。この日あったクジラの初競りには、イワシクジラの生肉約600キロが出された。「日新丸」(8145トン)を母船とする船団が11月25日に北海道の東沖で捕獲したメス(体長15メートル、体重27トン)からとれたもので、想定よりも2~3割高い1300~5万円で取引された。
イワシクジラの国内捕獲枠は年間25頭で、ニタリクジラ(150頭)やミンククジラ(120頭)に比べてなじみが薄い。
冷凍せずに氷温冷蔵して生肉のまま水揚げしており、日本捕鯨協会の山村和夫理事長は「イワシクジラは肉の味が濃くおいしい。脂がのった最高の状態で出荷できるので、ぜひさしみで食べてほしい」と話した。
競りに参加したコープ東北サンネット事業連合(仙台市)のバイヤー田中一臣さん(43)は、県内のスーパーに卸す赤肉や尾肉など計60キロを購入。「赤身はすじがなく、締まりのいい肉質でおいしそう。生肉は珍しいので、食べてみるいい機会になるのでは」と話した。(近藤咲子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル