コロナ禍の今、在宅で家族と過ごす時間が増え、「いばる夫」にモヤモヤを抱く人は多いのではないだろうか? 家事をやった気になって「いばる夫」と妻の感情とのギャップはどうして生まれるのだろうか。 作家・生活史研究家の阿古真理さんがハフポスト日本版に寄稿しました。 ———-
「しない家事」へのニーズとは?
「この頃、夫がうるさいのよ。『あれ、元の場所にしまっていなかったね』とか。在宅勤務になって私がやっていることを見ているうちに、家のことが少し分かるようになったからでしょうね」と言うのは、共働き歴30年の友人。彼女の夫は家事をしない人だ。コロナ禍の今、在宅で家族と過ごす時間が増え、彼女のようなモヤモヤを抱く人は多いのではないだろうか? 在宅生活における、夫婦の意識の違いを浮き彫りにしたアンケートがある。パナソニックが2017年から実施している「30代・40代夫婦のライフスタイル調査」がそれ。今年は6月26日~7月3日に実施され、関東1都6県と関西2府4県に住む30~49歳の男女1,392人が回答した。 この中で男女の大きな違いを生んだのが、「しない家事」へのニーズだ。しない家事とは、家事代行サービスや家電を使って家事を減らすことである。 「家事代行を使えば時間・心の余裕が生まれると思う」という設問に対し、「はい」と答えた女性は2019年の調査から6・9%増えて66・0%になったが、男性は9・7%も減って51・9%になっている。「家事を家電に任せれば時間・心の余裕が生まれると思う」という項目についても、女性は2・8%増の82・5%だが、男性は7・1%も減って64・3%となっている。なぜこのような差が生まれるのだろうか。 家事で疲れていると回答した女性は、2019年に比べて増えたが、男性は減っている。そして、家事分担をするべきと考える男女が減っている。その結果に対し、同アンケートは「『以前よりも家事の負担が増えているけれど、パートナーに期待するよりも自分でやってしまったほうが早い』と諦めの境地に達してしまった、すなわち“諦め妻”が増えているのかもしれません」と分析している。 こうしたことから同アンケートは、「しない家事」のニーズについて、男性は「在宅期間中に普段より多くの家事を担ったことが自信につながり、妻にどれだけ負担増加が生まれているかを想像せず『夫婦だけでも十分に回していける』と結論づけてしまった可能性が考えられます」と分析している。 ここで表れた男女の意識の乖離は、先月ご紹介した「名前のない家事」問題と直結している。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース