神奈川県は12日未明、新型コロナウイルスの軽症・無症状者向けに県が設けている宿泊療養施設に入っていた、県内在住の50代の男性が死亡したと発表した。施設側が連絡しても電話に出ない状況が数時間続き、室内で心肺停止の状態で発見されたという。宿泊療養施設に入所中の患者が死亡したのは同県では初めて。県は「極めて異例」のケースだとし、宿泊療養施設での健康観察のあり方を検証する方針。
県によると、男性は8日に感染が確認され、9日から同県厚木市内の宿泊療養施設に入っていた。
男性は11日午前、頭痛や腰痛、倦怠(けんたい)感を訴えた。体温は37・8度だった。県の保健師との電話でのやりとりのなかで「寝ているので腰痛がある。体を動かしているとよくなる」などと話していたという。
同日午後3時ごろ、LINEを使った健康状態の報告がなかったことから、施設の看護師が午後4時ごろ~7時半ごろに計6回、室内の内線電話や男性の携帯電話に電話をかけたが、つながらなかったという。このうち午後4時ごろの電話に対しては応答したものの、男性はしゃべらず、電話は途中で切れたという。午後6時半以降の電話に対しては応答がなかった。
午後8時ごろ、施設の看護師が部屋に様子を見に行ったところ、男性は心肺停止の状態でベッドに仰向けに倒れていたという。男性は医療機関に緊急搬送されたが、午後9時ごろ死亡が確認された。
記者会見で県の担当者は「死亡原因を含めてまだ不明な点が多いが、(宿泊療養施設の)運営そのものに緊張感を持たないといけない」と話した。
午後4時ごろ、男性が一言も話さないまま電話が切れた後、約4時間の間、室内を確認しなかったことについては「結果論からすると適切かどうかは判断が分かれる。いままで電話に出ても答えないケースは他(の患者)にもあった」としつつ、「その時点で注意を払っておくことが必要」とした。再発防止策については「健康観察のあり方や基準をもう少し明確化しないといけない」とした。(岩本修弥)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル