自民党衆院議員だった吉川貴盛・元農林水産相(70)=22日付で議員辞職=が大臣在任中に鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表(87)から計500万円を受け取った疑いがある問題で、東京地検特捜部は25日午前、札幌市の吉川氏の事務所に家宅捜索に入った。既に吉川氏の任意聴取も行っており、収賄容疑での立件を視野に押収資料の分析などを進める方針だ。
吉川氏は21日の聴取に現金の受領を認め、「返すつもりだった」と説明していたことも判明。同日夜に慢性心不全などの治療中で近く手術を受けるとして議員辞職を表明し、22日に辞職した。特捜部は辞職に伴って議員会館の事務所などが近く閉鎖されることも考慮し、捜索に踏み切ったとみられる。
関係者によると、農水相だった吉川氏は2018年11月に都内のホテルで200万円、19年3月に大臣室で200万円、同年8月にも大臣室で100万円の計500万円を前代表から受け取った疑いがある。前代表は、家畜のストレスを減らす「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に基づいた飼育基準づくりを進める国際機関に「農水省として反対意見を出してほしい」などと依頼したという。
前代表は特捜部の調べにこうした経緯を認め、「業界のためだった」と説明。特捜部は大臣の職務に関して受け取った賄賂の可能性があるとみて調べている。
検察当局は7月、19年の参院選広島選挙区をめぐって衆院議員・河井克行被告(57)と妻の参院議員・案里被告(47)を逮捕した買収事件の関連先としてアキタ社を家宅捜索した。前代表の聴取や農水省からの資料提出といった捜査も進めている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル