政府は緊急事態宣言について、飲食店への営業時間短縮などに対策を集中させる方針だ。なぜ今回、飲食店がターゲットになっているのか。感染拡大を抑える効果はどこまであるのか。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、感染対策の「急所」として、飲食店での会食をあげている。3密(密閉・密集・密接)になりやすく、飲食時はマスクを外さざるをえない。クラスター(感染者集団)の分析から、「飲酒を伴う」「長時間」「5人以上」などの条件下での飲食が感染リスクを高めるとわかってきたことも根拠になっている。
分科会は昨年10月、「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」として「短時間」「少人数」「席配置は斜め向かいに」「会話時はマスクを着用」などを盛り込んだ提言を公表した。
昨年12月の東京都内の感染者の分析では、感染の場は、飲食店よりも家庭内の方が多い。ただ、感染経路不明の中には、飲食店経由のものが多く含まれ、家庭内へと感染がもちこまれていると分科会はみている。
家庭に比べて飲食店は、時短要請などの感染対策の介入がしやすい。一時、感染が拡大した北海道では昨年11月から酒類を出す飲食店に対し、時短営業を要請。感染者数が減少した。
ただ、首都圏の4都県でもすでに酒類を出す飲食店に対し、午後10時までの時短営業を要請済みだ。さらに午後8時までに短縮する方向だが、早まるのは2時間のみで、どこまで感染を抑える効果があるかはわからないのが実情だ。(松浦祐子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル