史上初の無観客で開催された昨年末の「NHK紅白歌合戦」。異例の状況下で行われた歌の祭典に、コラムニスト・時代劇研究家のペリー荻野さんは「拍手を送りたい」としつつ、「次回は思い切って『お祭り』感を前面に出しては」と語ります。
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今回の紅白は例年と違い、いわば「コロナ禍でつらい1年を乗り切った人たちを元気づける」という使命を帯びていました。「赤いスイートピー」や「真夏の夜の夢」のような恋愛の歌よりも、「瑠璃色の地球」や「守ってあげたい」といった、傷ついた人々を癒やすような歌が求められていた。例年のような「お祭り」だけではことを済ませられない、そのさじ加減に制作陣は悩んだと思います。水森かおりの、富士山のような巨大衣装の前で自撮りをしたフワちゃんも、無観客で抑えた演出の中、たった1人で盛り上げ役を任されてやりにくそうだった。
その中でも、テレビリモコンのボタンを連打して視聴者に演出に参加してもらう純烈のステージでの試みや、三山ひろしの歌唱中にけん玉の連続成功記録に挑戦する恒例企画もありました。おかげで「ああ、いつもの紅白だな」とホッとした人は多いでしょう。
放送時間に収める難しさがあったかもしれませんが、ライブが満足に開かれなかった1年でもあり、欲を言えばそれぞれの歌手が視聴者に語りかける姿をもう少し長く見たかった。ただその中で、これだけのものを届けてくれたことに拍手を送りたいです。
圧巻だったのは坂本冬美。冒険…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル