惜別 作家の田辺聖子さん
「自分が自分を笑わなければ。それができるひとでないと、ものなんか書かれへん」
田辺さんは記憶のなかでいつも笑っている。そして、ふっと切っ先鋭い小刀のような話を繰り出す。コロコロと歌うようなかわいらしい早口で。
10年ほど前に大阪で文芸を担当し、お会いしたくて文化面で「おせいさん気まま語り」を企画した。3カ月に1度、自宅を訪ねての聞き書きだ。取材メモを繰れば、鮮やかな花柄の服で人形に囲まれた姿、思わずうなった一言一言がよみがえる。
「仕事はね、愛とプライド。仕…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル