新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言は大阪、京都、兵庫の関西3府県でも、延長が決まった。新規感染者数は減少傾向に転じたが、病床の逼迫(ひっぱく)が続いているためだ。社会経済活動への打撃がさらに広がる見通しで、関係者は危機感を高めている。
さらに1カ月――。臨時休業や時短営業の飲食店が目立つ大阪・キタの曽根崎お初天神通り商店街(大阪市北区)では、あきらめの声が聞かれた。
臨時休業中の串焼き店「たゆたゆ」では、店長の村田直弥さん(24)が従業員らと今後の営業について話し合っていた。従業員の感染予防を優先するという村田さん。「短期間で解除しても第4波が来るのは目に見えている。(宣言延長は)仕方がない」と渋い表情を浮かべた。
別の創作料理店では、午後8時までの時短営業を3月7日まで続けることを早々に決めた。男性店長(36)は、「飲食店ではどうしてもマスクを外す状況になってしまうので仕方ない。仕事的にはきついが、医療崩壊を防ぐためにもやむを得ない」。(浅沼愛)
懸念される「自宅待機者」
兵庫県の新規感染者数、確保する病床の使用率はいずれも改善の傾向を示している。その一方で、井戸敏三知事が「医療状況の逼迫(ひっぱく)を象徴している数値」として懸念を示しているのは、入院などができない「自宅待機者」の数だ。
県は自宅療養を認めず、入院か宿泊療養施設での療養を原則としているが、実際には入院・療養先が決まらず「自宅待機」の感染者は2日時点で635人に及ぶ。県は看護師による自宅訪問を強化するなど、自宅待機者のケアに力を入れる。
また確保する病床の使用率も都市部は深刻で、神戸市の2日時点の使用率は84・5%。井戸知事は2日、宣言延長を受けて、「病床の状況や自宅待機者数を勘案すると、ここで緩めると今までの努力が無に帰する。まさに正念場」と報道陣に語った。
京都観光に暗い影
京都府でも感染者数は減少。会食など感染リスクの高い行動を控えてもらうため、京都市では昨年12月から飲食店の時短営業が求められ、宣言で府内全域に拡大された。府によると、約1万4千の飲食店の9割以上が協力している。
府幹部は「(宣言の効果は)ある程度あった」とみるが、確保している病床ではなく、感染者を迅速に受け入れられる「すぐに使えるコロナ用病床」の使用率は76・1%。西脇隆俊知事は2日、「医療現場の状況を考えると、延長はやむを得ない。(観光の再開へ)いま、抑えきることが重要」との認識を示した。
出口の見えないコロナ禍は観光にも影を落とす。京都市観光協会の主要ホテルを対象とした調査では、1月の客室稼働率の予測値は約3割。2月はさらに落ち込む見通しだという。(武田遼、権敬淑)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル