北海道網走市にある網走地方気象台が「流氷接岸初日」を告げた1月31日、記者は取材中に信じられない光景を目撃した。接岸した流氷の上に、海鳥やアザラシではなく人が乗っていた。
拡大する接岸した流氷の上を歩く男性。そこは海の上でもある=2021年1月31日、北海道網走市、神村正史撮影(一部を加工しています)
拡大する男性が流氷の上にいた場所を同じ位置から同じアングルで撮影した。そこは、白波が立つ海になっていた=2021年2月2日、北海道網走市、神村正史撮影
肉眼では米粒ほどの大きさにしか見えない。超望遠レンズで確認してみる。男性が流氷を撮影しているようだ。
その場所は流氷の上でもあるが、海の上でもある。男性の乗っている流氷はすぐにでも沖に流れ出すかもしれない。
男性はまもなく岸に戻ったが、これは危なかった。下手したら死ぬぞ。
この日の網走市の最低気温は零下10・5度。最大瞬間風速は10・6メートルを観測した。流氷は、前日までは一部で接岸する程度だったが、北寄りの風におされて沖合から一気に岸に寄った。そして沿岸の広い範囲を埋め尽くし、船舶の水路をふさいだ。まさに「流氷接岸初日」の条件を満たす状況だった。
記者の目から見ると、男性がいる流氷の連なりは岸から沖に向かって数十メートルで途絶えていた。その先には白波が立ち、砕けた氷が海面を大きく上下していた。男性は足元の流氷が動かないと信じているのか、岸から10メートル以上沖へ流氷の上を歩いて行き、カメラを設置していた。
その間、数分くらいだっただろ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル