客からあずかる衣類のポケットの中身に、クリーニング店のスタッフが頭を悩ませている。これまではハンカチが断然多かったが、新型コロナウイルスの影響で、使用済みのマスクが目立つようになった。ポケットに手を入れるのが怖い――。そんなスタッフの不安の声を受け、福岡県の店がある方法で客に確認を呼びかけることにした。
〈最近、ポケットの中に札束か!?とおもいきや、マスクやった…という事例が頻繁に発生しております。今まで不動の1位だったハンカチを一気に抜き去りました〉
福岡市内を中心に約50店を展開するクリーニングチェーン「博文舎クリーニング」の店舗のカウンターに、「ポケット確認のお願い」という紙が貼ってある。
文面をつづったのは営業の大森康正さん(46)。
コロナ禍が全国に広がり始めた昨春、スタッフから「ポケットから使用済みマスクが出てくる。手を入れるのが怖い」などの相談が寄せられた。
対策として、ゴム手袋をつけることを考えた。
だがそうすると、熟練スタッフなら生地や素材に触っただけで適切な洗い方を提案できるのに、難しくなる。作業もしづらいだろうと悩んだ大森さんは、店の実情を客に伝えることにした。
まずスタッフにポケットによく入っているものを聞き取った。
定番のハンカチやティッシュに加え、圧倒的に増えたのが使用済みのマスク。ほかにも、つまようじや綿棒、固まったあめ玉やガム、レシート類など、次々と寄せられた。
スタッフの意見を集約した指導員の山中摩純(ますみ)さん(38)は「汚れたものを扱う仕事だけれど、使用済みマスクはもちろん、耳あかのついた綿棒やつまようじは、正直なところ触れるのをためらってしまう。でも私たちの不安な胸のうちまで、なかなか接客の場で言えなかった」と話す。
大森さんは、「ポケットの中に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル