電気がなくても夜間に見える「光る避難階段」が岩手県山田町にできた。元々あった避難階段に、太陽や蛍光灯の光を蓄えて光る「蓄光塗料」を塗ったもので、暗闇の中でも人の目で見える明るさを12時間以上保つ。
塗料は、県工業技術センターの元研究者穴沢靖さん(66)、同県一関市の塗装会社社長佐々木謙一さん(58)、盛岡市の蓄光顔料メーカー東北エヌティエスが協力して開発。既存の蓄光塗料との大きな違いを穴沢さんは「発光時間が長く、屋外のコンクリートなどにも塗れ、雨や紫外線にさらされても10年、15年はもつ耐久性」と説明する。
穴沢さんは津波で大きな被害を受けた同県宮古市出身。佐々木さんは東日本大震災の時、自宅があった同県陸前高田市で妻を亡くした。「今まで培った技術や知識を減災に役立てないか」という2人の考えが一致し、蓄光塗料の開発に挑んだ。
避難階段の他、グループホームのスロープや非常口にも試験的に蓄光塗料を塗るなど、活用法を探っている。(福留庸友)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル