東日本大震災から10年がたちました。発生直後から現地で取材したフォトグラファーたちは何を思い、ファインダー越しに被災地をどう見つめていたのか。「あの日の写真」を振り返ります。
拡大する震災翌日、孤立していた荒浜小(写真奥)から避難する人たち。消防ホースにつかまり、水とがれきが残る中を歩いた=2011年3月12日午後、仙台市若林区、西畑志朗撮影
東京・築地にある朝日新聞本社を飛び出し、ヘリコプターで福島空港へ。タクシーに乗り換えて仙台市若林区に着いたのは、3月12日未明だった。停電で周囲は暗闇に包まれている。タクシーの中でラジオのニュースを聞きながら、朝を待った。
同区の荒浜は仙台市の中心部から東へ10キロほど離れた太平洋に面した地区だ。津波に襲われたこの地区では、多くの犠牲者が出ているとの情報が駆け巡っていた。
日が昇ってから海岸をめざしたものの、泥とがれきで覆われた道が行く手を阻む。海に近い一帯は海水につかり、湖のようになっていた。
少し先に、水の中にぽつんと浮…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル