「去年までは旅行でも何でも好きなことをポンポンしていたけど、二十代の後半にはいった最近は、ちょっと控えちゃう。まわりの制約がすごくあるんです。“いい年をして”とか」(25歳)「母がいうんです。並の生活をしなきゃいけないって。親としては結婚してもらいたいし、それが女の道じゃないかって……」(26歳)
未婚女性たちに向けられる「結婚は?」というプレッシャー。1971年4月11日の朝日新聞朝刊の連載「男と女」で、こんな声がいくつも紹介された。見出しは「憂うつな24歳」だ。
当時、女性の平均初婚年齢は24・2歳。その後、女性の社会進出が進み、男女とも平均初婚年齢は当時から右肩上がりに。2019年の数値は、男性が31・2歳、女性は29・6歳となり、50歳時点で婚姻歴のない人の割合を示す生涯未婚率も、90年代以降に急カーブを描く。当時は男女とも5%未満だった未婚率は、19年に男性29%、女性19%に。結婚に対する価値観も多様化したとみえる一方、「いつかは結婚を」というプレッシャーは、過去のものになっていない。
「そろそろ結婚?」。都内の会社員の女性(28)は、ここ1~2年、社内でこうした話題を振られる機会が急に増えた。同僚の男性は「彼女は?」と話題を振られるのに、自分は「結婚は?」と聞かれる。祖母も、「行き遅れないでね」と口にするという。
結婚願望がないわけではない。ただ、「結婚するのが幸せ」といわんばかりの空気に息苦しさを感じる。「自分の選択ではなく、『こっちが幸せ』と示されたレールに乗らなければならない。そんな感覚です」
ジェンダーをめぐる状況は何が変わり、何が変わらずにきたのでしょうか。50年前の新聞と、今とを行き来しながら考える連載です。
学生時代は、友人と結婚の話題…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル