中国北部でこの10年で最大規模と確認された黄砂が17日にかけ、日本にも飛来した。この季節に浮遊する花粉が黄砂の影響で細かく砕け、より深刻なアレルギーを引き起こす可能性もあるという。どんな対策を取れるのだろうか。専門家に話を聞いた。
埼玉大大学院理工学研究科の王青躍(オウセイヨウ)教授(環境科学)は、黄砂の到来と花粉の飛散が重なったことに注意を促す。かつては4~5月に目立った黄砂が地球温暖化によって早まっているという。
中国大陸などの砂漠から吹き上げられた黄砂は、上空を浮遊する間に車の排ガスなどと反応し、硝酸カルシウムや硫酸カルシウムといった物質に変わっていく。王教授は「湿度のある中、そうした黄砂と接触した花粉はもろくなり、破裂して花粉内の物質が微細化すると同時に、車の排ガスによってさらに強毒化する」と指摘する。
微細なアレルゲンが体内に取り込まれやすくなり、くしゃみや目のかゆみにとどまらず、ぜんそくなど深刻な症状につながりかねないという。
花粉、巻き上げないためには
黄砂と花粉シーズンの中、私たちにどんな対策が取れるだろうか。
王教授は「まずは不要不急の外出を避けること」と話す。激しい運動は控え、散歩する場合でも幹線道路を避けることが重要だという。更に、帰宅時には花粉を払ってから家の中に入ることを勧める。
新型コロナウイルスの感染防止策として有効な換気は、花粉対策には逆効果だ。また、空気清浄機や加湿器を床面に直接置くと、落ちている花粉を巻き上げかねないという。しっかり拭き掃除をすることも大切だという。(聞き手 荻原千明)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル