東京五輪の聖火リレーが逆風にさらされている。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためとして大阪市で中止が表明され、島根県知事は感染拡大の懸念から五輪開催そのものへ異論を唱える。リレーのランナーたちは、思いを伝える場ができることを望んでいる。
「聖火リレーを走りたいという一心でリハビリに取り組んできた。回復した姿をお世話になった人に見てほしかった」。3年半前、脳梗塞(こうそく)で左半身にまひを負った大阪市淀川区の山本潤二さん(62)は言う。
大手家電メーカーの営業部長だった山本さんは、定年退職を半年後に控えた2017年秋、職場で病に倒れた。「仕事の集大成として組織改革をまっとうしたい」と、打ち込んでいた矢先の出来事だった。
搬送先の病院で目覚めた時、言葉を発することも寝返りを打つこともできなかった。当初は車いす生活。リハビリに取り組んだが、左手、左足は重くぶら下がったように感じ、一歩踏み出すにも力がいった。
約半年の入院後、退院時には杖をついて歩けるようになった。時短勤務で職場に復帰。入院した分、定年は延びたが元通りには働けず、悔しさを抱えたまま18年末に定年を迎えた。
そんなころ、聖火ランナーの募集を知った。「走りたい。もっと良くなりたい」。リハビリを指導する理学療法士の寺村崇昭さん(31)に相談すると、「やりましょう」と言ってくれた。
自宅マンションの敷地を聖火リ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル