無国籍の乳幼児が急増している問題をめぐり、上川陽子法相は13日の閣議後会見で、「(在留統計で)無国籍の方の存在は承知している。不法滞在者は統計で把握しておらず、子どもの国籍がさだかではない状況が生じていることは認識している」と、問題の所在を把握していることを明らかにした。
日本の国籍法は原則、親の国籍を受け継ぐ血統主義だが、国内で生まれて「父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」は日本国籍を取得できる同法2条3項について言及。「補充的に(生まれた地の国籍を得られる)生地主義を採用することで、できるだけ日本で生まれた子が無国籍とならないように措置を講じている」と、現状の取り組みを説明した。
無国籍となっても「不利益を被ることが無いよう、関係機関と連携し、適切に相談対応をおこない、出入国管理法上の取り扱いについて積極的に広報する体制をとりたい」とも話し、状況の改善をめざしていく考えを示した。
日本で生まれた子どもが、在留カードに外国人の母の国名が書かれているにもかかわらず、実際はその国で出生手続きがとられずに事実上無国籍の状態となったケースもある。上川法相は「この国で生まれた子どもの権利の基盤がそれで失われているなら問題だ。子どものたいへん大事な問題として掘り下げたい」とし、「出入国在留管理庁の制度がどう運用されてきたのか。私自身、丁寧にいろんな角度から取り組みたい」と、解決に前向きな姿勢を示した。
法務省の在留外国人統計によると、無国籍の乳幼児(0~4歳)は、3年前に比べて約3・5倍に増えて、2019年末時点で213人。20年6月末時点で217人となっている。このほか、在留管理上では無国籍と把握されていなくても、どこの国籍も得られていない事実上の無国籍の子どもたちもいるが、統計上は把握されていない。(藤崎麻里)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル