公職選挙法の条項の一部で、本来あるはずの罰則が記載されていないことがわかった。2018年に法律が改正されて新たな条項が追加され、条項の順番が一つずれたが、罰則の方は修正されなかったため、既存の条項と罰則が対応しない状態になった。改正案を作った参議院法制局は取材に対し、ミスを認めている。
今国会では政府が提出した法案の約4割でミスが見つかっている。専門家は「法律が軽く扱われ、じっくり検討されていないのではないか」と指摘する。
罰則がなくなったのは公選法の「142条の4第7項」。候補者や政党が選挙に際して投票依頼などの電子メールを送る際に、送信者名や、受信拒否を希望する場合の連絡先などを表示するよう義務づける規定だ。
総務省によると、この規定は13年の公選法改正で新設された。当初この条文は「第6項」だったが、18年にさらに改正され、新たな条項が挿入された影響で、条文内容はそのままで「第7項」に繰り下がった。
この規定に違反した場合の罰則(244条第1項2の2)は、「142条の4第6項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかった者」を、「1年以下の禁錮または30万円以下の罰金」と定めていた。
18年の法改正時に、罰則中の表記「第6項」を「第7項」に修正する必要があった。だが修正はなされず、表示義務規定違反の罰則が消えた状態となった。
このミスは大阪弁護士会の弁護士(44)が見つけた。弁護士は、19年の参院選で落選した陣営の投票依頼メールに表示義務違反があったとして、告発を検討していた。公選法を調べている際に、罰則がないのに気付いたという。
記事後半では、ミスが起きた背景について、ミスを発見した弁護士や専門家が語ります。
弁護士は「違反行為があっても…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル