週明けから再び緊急事態宣言下での学校生活となるのを前に、都内の各自治体の教育委員会は対応に追われている。
宣言が出される可能性を見据え、世田谷区は20日と22日、全区立小中学校に、オンラインでの学習と授業を試行するよう指示した。21~23日は児童生徒が教室にいる状態で、オンライン会議システム「Zoom」を使い、朝の会や帰りの会などを実施。予定の確認や一日の振り返り、授業の一部分を試す。また、学習支援アプリ「ロイロノート」を使い、家庭とやりとりしてみることも指示した。
さらに、26~30日には、学級を対面授業とオンライン授業に2分割して同時に行うことや、教師と児童生徒がロイロノートで課題などのやりとりをしてみることも求めている。
区教委の担当者は「感染が拡大すれば、学級閉鎖もあり得るし、感染への不安から登校しない児童生徒も出るだろう。どんな状況、どんな児童生徒にも、全校で同じように対応できる態勢を早めに整えたい」という。
杉並区教委は23日夕、区立小中学校などに感染対策の徹底を通知した。中学の部活動について「制限または中止」とするなど、学校活動の制限を強める内容だ。
区教委によると、通知では部活動について中止の可能性を盛り込んだほか、「対外試合や合同部活は中止」とした。一方、夏の大会は出場可で、練習も実施できることとした。合唱や接触を伴う運動など、感染リスクの高い活動の禁止も盛り込んだ。
また、5月末までに中学校8校が修学旅行を予定していたが、多くは延期を決めた。
同区では昨年度、延期しての実施も含め、修学旅行に行けたところが少なくない。区教委の担当者は「キャンセル料の発生や、受け入れ側のことも考えれば、5月中の実施は難しい。できるだけ実施できるといいが、再予約もなかなか厳しいようだ」としている。
文京区も23日、区内の小中学校と幼稚園に通知を出し、授業は対面を原則とし、休校や分散登校は求めないとした。一方、運動会など学年を超えた行事や、都外に出る修学旅行などは延期または中止を求めた。また、中学の部活動は宣言解除までは平日のみ、放課後1時間半程度までにすることとした。
ただ、宣言下に最後の部活動の大会を迎える中学3年生がいることを想定し、「出られないという事態は避けたい」と判断。東京都中学校体育連盟が大会を開く場合には、練習や出場は可とした。
中野区は、小中学校に対して、現時点では、部活動の制限など一律の対応は求めない方針だ。
区教委の担当者は、「区内の学校では、これまでクラスター(感染者集団)の発生もない。感染状況や他の自治体の動向も見つつ、今後の対応を考えていくことになるが、教育活動は止めないようにしたい」という。
都内のある市では、まん延防止等重点措置を受け、感染対策の強化を求める通知を小中学校に出したばかり。担当者は「緊急事態宣言の対策を加えてまた作り直しです」とこぼす。週明けに校長らと教育委員会で、部活動や学校行事をどうするか話し合う予定だ。
5月末からは関西へ修学旅行に行く中学校があり、6月には県外へ学習に出かける小学校もある。「宿泊施設は3週間前からキャンセル料がかかるので、連休明けにはどうするか判断をしないといけない」(宮坂麻子、高浜行人、阿部朋美、三島あずさ)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル