稲田博一
田んぼの真ん中にある遮断機も警報機もない小さな踏切が、地域の観光名所になった。千葉県いすみ市のいすみ鉄道第二五之町(だいにごのまち)踏切。鉄道写真家の中井精也さん(53)の写真展をきっかけに全国的に知られるようになったといい、いすみ市観光協会がつくった「いすみ鉄道・国吉エリア沿線ガイドマップ」に取りあげられた。
中井さんがこの踏切を大きく紹介したのは、2009年の写真展から。中学生のころから通った場所で、現在も題材として取りあげたり、写真の勉強会を開いたりしている。いすみ鉄道も、この踏切を題材に「ここには、『なにもない』があります。」と記したポスターを作製した。
国吉駅から歩いて20分ほどの場所で、星空の撮影ポイントとしても人気が高いという。いすみ市の古谷彰浩さんは「田舎ならではの遮断機のない踏切。ローアングルから撮影すると、背景に何も人工物がない空と列車を撮ることができる」と人気の理由を説明してくれた。
マップには釈迦涅槃(ねはん)像がある海雄寺や、出雲大社上総教会、江戸時代の彫刻師・波の伊八の作品がある光福寺や行元寺なども紹介されている。国吉駅観光案内所などで無料で配っている。(稲田博一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル