「予約の電話がつながらない」「つながっても既に埋まっていた」――。新型コロナウイルスのワクチン集団接種を進めている北九州市で、こうした苦情が市に殺到している。区役所には、業を煮やした人が早朝から列をつくっているという。そう聞いて記者が行ってみると……。
拡大する早朝、ワクチン接種の予約を求める市民たちの行列ができていた=2021年6月3日午前7時7分、北九州市小倉北区役所、佐々木亮撮影
雨がパラつく午前7時半すぎ、小倉北区役所には玄関が開く前にもかかわらず、既にお年寄りや付き添いの人ら60人ほどが並んでいた。先頭の70代の女性は「午前1時半ごろから待っている」と話した。
拡大するワクチン接種の予約を求めて並ぶ市民たち=2021年6月3日午前7時46分、北九州市小倉北区役所、佐々木亮撮影
職員が整理券を配り、受け付け会場へ案内した。「今日は限られた枠しかなく、数人程度しか予約出来ない可能性があります」と説明する職員に、「こんなに並ばせて、これでダメならどうすれば予約できるのか」とくってかかる人も。
拡大するコロナワクチン接種について「お並びいただいても数名の方しか予約できない可能性があります」と知らせる貼り紙=2021年6月3日午前7時28分、北九州市小倉北区役所、佐々木亮撮影
ネット上で予約枠が更新される午前9時、職員がタブレットを操作して予約代行の作業を始めた。5分ほどで、「今日の予約はすべて埋まりました」とアナウンス。「えーっ」と落胆の声が広がった。この日、同区役所で予約できたのはわずか4人だった。
拡大するワクチン接種の予約受け付け開始を待つ市民たち=2021年6月3日午前8時6分、北九州市小倉北区役所、佐々木亮撮影
拡大する市職員のサポートでワクチン接種の予約をする市民たち=2021年6月3日午前8時54分、北九州市小倉北区役所、佐々木亮撮影
区内の男性(70)は夫婦2人で午前4時ごろから並び、妻だけ予約が取れた。「電話もダメ。ネットもダメ。行列は2回目。もっと良い方法はないのか」と嘆いた。自身の分は、別の日にあらためて並ぶという。
なぜこれほど予約が取りにくいのか。
北九州市では現在、かかりつ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル