資産家として知られ、多くの女性との交際遍歴から「紀州のドン・ファン」としてメディアにも登場していた和歌山県田辺市の会社社長、野崎幸助さん(当時77)が急性覚醒剤中毒で急死して24日で1年。県警は、事件、事故の両面で調べているが、野崎氏と覚醒剤との接点は見つかっておらず、捜査は長期化している。
5月中旬、田辺市内の住宅街。ピンク色の壁が目立つ野崎さんの自宅は、ひっそりとしていた。近所の男性(68)は「昨年末まで人の出入りがあったが、最近は見ないね」。
自宅近くにあり、経営していた会社が入るビルは、道に面したシャッターが下ろされていた。野崎さんの死後、20代の妻が代表に就いた。インターホンを押すと、従業員とみられる女性の声で反応があった。だが「何も分かりません」という返事だけで、それから応答はなかった。
昨年5月24日夜、自宅2階の寝室で野崎さんがぐったりしているのを妻が発見。手伝いの女性が心臓マッサージするなどしたが、死亡が確認された。県警によると、死亡推定時刻は午後9時ごろで、胃の内容物などからは致死量を超える覚醒剤が検出された。腕に注射痕はなく、口から覚醒剤成分を摂取したとされるが、経緯は不明だ。
県警は、自宅から処方薬などを押収。また、自宅と会社から約2千本のビールの空き瓶を押収して覚醒剤の痕跡を鑑定しているが、数が多く結果はまだ出ていない。親族の男性(78)は、「幸助は『覚醒剤は嫌』といつも言っていた」と語り、覚醒剤との接点は不明だ。
捜査関係者によると、県警は発生当初と同規模の捜査員で捜査を継続中。他殺や自殺、誤って飲んだ可能性など、あらゆるケースを想定しているという。捜査関係者は「難しい捜査。野崎さんは交友関係が広く、捜査の範囲も広くなる。時間がかかるだろう」と話す。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル