西江拓矢
東京五輪に向けた事前合宿のため来日したが、新型コロナウイルスの陽性者が出たため、ホストタウンの大阪府泉佐野市のホテル内で待機を余儀なくされているウガンダ選手団。同国のオーガニックコットンを原料に綿製品を作り、ホストタウンの登録にも関わったタオル業者が、知り合いの選手団メンバーに電話した。陽性者の濃厚接触者に特定されて練習ができず、不安な気持ちで過ごす選手らを励まそうと、応援メッセージをSNSで募るプロジェクトも始めた。
濃厚接触者に特定された選手らはホテルの個室に滞在している。同市のタオル製造会社「スマイリーアース」の社長、奥龍将さん(32)が知り合いの選手団メンバーに電話したのは23日。選手団として2人目の陽性が判明した日だった。
奥さんからの電話に対し、メンバーは声の調子が疲れた様子だったが、「迷惑をかけて申し訳ない」との言葉があった。さらに、奥さんが体調を気遣うと、メンバーは「大丈夫」「食事はとれている」と答え、「ホストタウンにはよくしてもらっている」と感謝の気持ちを伝えてきた。奥さんは「何でも相談に乗る」と伝えたという。
泉佐野市は「泉州タオル」で知られるタオルの産地。奥さんは、弾力性に富むウガンダ産オーガニックコットンを原料にタオルなど綿製品を製造し、10年ほど同国と交流を続ける。また、大学時代には箱根駅伝に出場しており、同国のスポーツ関係者と親交を深め、ホストタウンの登録にも尽力した。
奥さんは、選手が大会前に練習できない気持ちがよくわかり、不安でたまらないだろうと思い、勇気づけようと考えた。「人と人とのつながりがエネルギーになる。みんなの温かい気持ちが彼らの支えになれば」
フェイスブックなどSNSを通じ、応援のメッセージや動画を募って、選手団に届けるプロジェクトを始めた。奥さんのフェイスブックは、https://www.facebook.com/tatsumasa.oku。(西江拓矢)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル