名古屋市中区栄4丁目の市施設「市民ギャラリー栄」に届いた郵便物が破裂した事件で、施設職員が封筒をハサミで開けようとした際に破裂したとみられることが捜査関係者への取材でわかった。破裂は爆竹によるものとみられる。封筒は速達で届き、関西地方の消印、「USB在中」と書かれていたという。愛知県警が威力業務妨害容疑で捜査している。
施設では、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止になった企画展「表現の不自由展・その後」出展作品の展覧会が6~11日の日程で開かれていた。捜査関係者によると、封筒には展覧会の中止を求める一文が添えられ、差出人に右翼団体とみられる名前があり、同ギャラリー宛てだった。ハサミで開封した際、中の仕掛けが起動した可能性があるという。
中署によると、事件があったのはギャラリーを管理する市文化振興事業団の事務室のある施設の7階で、展覧会会場は施設の8階。茶封筒(縦約23センチ、横約12センチ)を職員が開封したところ、破裂音が10回ほど続いた。職員のほかに会場警備の警察官もいたが、けが人はなかった。
一方で、展覧会主催団体は9日、名古屋市に展示再開を求めた。事件を受け、市が施設を11日まで臨時休館にし、事実上の展示中止となったことに抗議した。
市に出した文書では、市の対応を「正確な情報提供もなく一方的に施設利用の停止を通告した」「差し迫った明らかな危険があるかは不明確だ」と指摘し、「憲法で定められた表現の自由を侵害している」と抗議。すぐ施設利用を認めるよう要望した。
主催団体の高橋良平事務局長は記者会見し、「休館にせず継続できるか市は具体的な検討をせず、主催者の表現の自由を守るために行うべき当然の責務を果たしていない」と批判した。
文書の提出に先立ち、高橋さんらは支援者らと約20人で市役所前で抗議活動をした。市担当者とも協議し、県警に警備強化を要請することも求めたが、市は「不確定要素が多く、安全確保ができない」と方針を変えなかったという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル