教師や医師などによる地位・関係性を利用した性暴力について、企画「子どもへの性暴力」の第4部として4~5月に紙面や朝日新聞デジタルで連載したところ、読者から80通を超える手紙やメールが寄せられました。4割近くが被害の体験を打ち明けるものでした。当事者の声に耳を傾けながら、地位・関係性を利用した性暴力について一緒に考えたいと思います。(編集委員・大久保真紀、山田佳奈、根岸拓朗、塩入彩、阿部朋美)
「どれだけの勇気をもって告白したか。それをなかったことにされるのは悲しい」。この春に東北地方にある国立の高等専門学校(5年制)を自主退学した女性(19)は、そう話します。
「何が起こったのかわからなかった」
女性は3年生だった昨春、当時のクラス担任だった男性教師の研究室に所属してゼミ形式の授業を受けることになりました。尊敬し、信頼していたその教師とのゼミ形式の授業を選んだ学生は1人しかおらず、1対1の授業でした。教師が選んだ教材は、ミシェル・フーコーの「知への意志」。性の歴史をもとに抑圧について考察する内容です。
もともと成績はよかったのですが、哲学書だったので内容が難しく1ページを理解するのに1時間以上かかり、睡眠時間も短くなりました。
子どもへの性暴力
教師との関係を苦に学校を自主退学した女性。記者は教師に直接取材を申し込みました。記事の後半では、医師や牧師からの被害を打ち明ける方々の声や海外の制度、日本の法整備の現状と課題などをまとめています。
授業では1対1の空間で性的な言葉を口にしなくてはならず、苦痛を感じました。女性によると、欲望についての説明では「どんなときにエッチなことを考える?」などとも問われて混乱。「全く理解してないね」などと高圧的に指摘されることもあり、週に1度の授業が恐怖になったと言います。
あるとき研究室を訪ねて「も…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル