聞き手=稲垣直人 聞き手=編集委員・塩倉裕
コロナ禍の東京五輪開催をめぐり、「外圧」という言葉が久々に注目された。推進派も反対派も、外からの声が事態を変えてくれることを願った。2021年のいま、外圧の正体とは何か。
「なぜ今」「誰によって」 背景の吟味を 猿田佐世さん(シンクタンク「新外交イニシアティブ」〈ND〉代表)
東京五輪・パラリンピックの開催について、菅義偉首相は6月のG7サミット(主要7カ国首脳会議)で「全首脳から力強い支持を頂いた」と言いました。注意しなければならないのは、このような海外の「お墨付き」は、日本の政治家や官僚たちが自分たちの政策・方針を推し進めるための常套(じょうとう)手段だということです。
今回も官僚が根回ししたのでしょう。日本が「安心安全に開催する」と強調すれば、目くじらを立てて反対する外国の首脳はいない。それを「全首脳の支持」と言うのは一種の外圧利用です。こうした「日本政府製」の外圧の例は挙げればキリがありません。
なお、外圧の圧倒的多数は「米国発」です。日本が時間とお金をかけて米国に働きかけ、「米国の意向」として発信されます。
外圧について考えていきます。この後、「受けてきたのは日本だけではない」と語る評論家・中野剛志さんや、「日本って、人権やジェンダーといった面で世界からの声に鈍感でしょ?」と指摘する文芸評論家・斎藤美奈子さんが登場します。
日本政府は、米国の有力なシ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル