招待する側も、される側も悩ましいのがコロナ下の結婚式。式が延期、再延期となった新郎新婦。欠席を伝えると親族間で険悪になったゲスト。困り事をSNSで募る「#N4U」取材班にも、そうした声が寄せられた。11月に式を控える取材班の記者(31)も、葛藤する1人だ。(寺沢知海、朝倉義統、矢島大輔)
5月の夕方、兵庫県西宮市。自宅でタキシードとウェディングドレスに着替えた、新郎の杉本賢吾さん(29)と新婦の千寿香さん(28)は、浜辺の公園に移動した。「ここは石垣島です!」。写真撮影では、結婚式プロデュース会社のスタッフが声をかけた。
「笑いと愛の絶えない温かい家庭を築くことを誓います」
お互いの両親の前で誓い、指輪を交換した。
新婦の母・和田千昭さん(52)はスマホで、その様子をライブ中継した。中継先は、参列するのを楽しみにしていた奈良県に住む新婦の祖父母宅だ。
2人は2019年5月に結婚。20年4月に沖縄県の石垣島で式を挙げ、9月に大阪のホテルで披露宴をするはずだった。だが、緊急事態宣言で延期に。今年に入り同じような日取りで計画していたが、再び緊急事態宣言に阻まれた。
結婚式プロデュース会社エニマリに相談。ゆかりのある近畿大学周辺や、新生活を送る西宮市内で写真撮影をし、両親4人に絞って浜辺で人前結婚式を挙げた。披露宴はあきらめた。
賢吾さんは「本当に疲れた。ゲストにも不安で嫌な思いをしてほしくない。迷惑がかかるから再々延期はしなかった」と言う。
千寿香さんは、「式を挙げるメドが立たず、たくさん悩みました。結婚から2年も経ち、気持ちが新鮮なうちに式をしたかった」と話す。「こんな形じゃないとも思ったけど、こんな機会だからこそ2人の思い出の地をめぐって新たな気持ちでスタートしたかった」と語った。
昨年1月に結婚した東京都の会社員男性(36)は式を2度延期し、いまだに挙げられずにいる。
当初は昨年12月に予定して…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル