大阪都構想をめぐって、対立と接近を繰り返してきた大阪維新の会と公明党大阪府本部が25日、実現を目指すことで最終合意した。4月の府知事・大阪市長のダブル選では、都構想廃止を掲げる維新の対立候補を支援した公明。選挙後に維新との協議を再開してからわずか1週間で、賛成へとかじを切った。都構想は前回の住民投票で否決されたものの、その差は約1万票。公明が今後、推進派に回ることで、拮抗(きっこう)する制度移行への賛否の世論にも大きな影響を与えそうだ。
「お互い全力でつぶし合う戦いをしたが、それも終わった。選挙後は民意に沿った形で行政を運営するのが、われわれの責務だ」
午後7時半から大阪市内で開かれた維新と公明の共同会見。維新代表の松井一郎大阪市長はこう切り出し、融和ムードをアピールした。
隣に座った公明府本部の佐藤茂樹代表も「維新への民意を真摯(しんし)に受け止めなければ、われわれ公明の発展はない」と明言。「ノーサイドの精神で、手を携えて進む」と語った。
両党は昨年末以降、住民投票の実施時期をめぐって対立が深まり、互いに非難の応酬を繰り広げてダブル選に臨んだ。
選挙戦とはうってかわって、この日は松井、佐藤両氏から笑みがこぼれる場面も。最後にはがっちり握手を交わして、よりよい制度案を作ると強調した。
会見では、これまで一貫して都構想に反対してきた公明側の方針転換について記者から質問が集中。佐藤氏は「民意」を重視した結果だとし、次期衆院選での対決回避が主眼ではないかと問われると「協議のなかではそういう話題は一切なかった。大都市制度のあり方と選挙は無関係」と述べた。
公明側は都構想賛成に転じる条件として、敬老パス制度や中学生への塾代助成など住民サービスを低下させないよう求めたほか、庁舎整備など特別区導入にかかるコストの軽減も要望。「生産的な視点で、公明も納得するような協定書をつくる。維新と政策を競い合うような関係を続けたい」(佐藤氏)とし、あくまで政策面での合意であることを強調した。
具体的な制度設計を行う法定協議会は6月にも再開される見通し。約1年後には協定書を完成させ、来年秋ごろにも2度目の住民投票が実施される。
法定協で過半数を占めることになる維新と、公明がいずれも賛成の立場で議論に臨めば、メリット・デメリットが十分に検証されない恐れもあるが、松井氏は「甘い議論にはならない。投資金額やコスト軽減についても具体的な中身のある議論ができると思っている」と自信をみせた。
2回目の住民投票の際、党として賛成を呼びかけていくのかについて、佐藤氏は「よい協定書を作り上げれば、呼びかけるのは自然だと思う。そういうものを作るために知恵を出してやっていく」と述べた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース