公立小中学校のプールの老朽化に神奈川県内の多くの自治体が直面している。少子化が進み財政状況も厳しさを増すなかでは、建て替えは難しく、修繕を重ねながらの維持管理も負担が大きい。民間のスイミングスクールで水泳の授業を行う例も出てきた。
伊勢原市の商業施設内にある屋内水泳施設「チャンピオンスイムクラブいせはら校」。7月初旬、市立山王中学校の1年生1クラスが、学校からクラブの送迎バスに乗ってやってきた。
授業には体育教師のほか、施設の指導員6人も参加。レベル別の3グループに分けた生徒たちを、約1時間20分、遊びの要素も採り入れながら指導した。宮林英樹校長は「学校のプールでは教師が1人で指導する。ここでは指導員も多く、指導だけでなく、安全面でも子どもたちに目が行き届く」と話した。
1年生の牧内広喜さんは「どきどきしたけど、とても分かりやすかった」。茂崎結彩さんも「コーチは優しくて、すごく褒めてくれた」と楽しそうだ。施設の担当者は「学校の要望に合わせて、きめ細かな指導ができる。指導員にも勉強になる」と話す。
山王中のコンクリート製プールが整備されたのは1982年度。ひび割れが目立ち、水の濾過(ろか)に使うポンプも修理が必要な状態だ。そこで今年度、1年生の5学級178人に、水泳の授業を民間施設を活用して試行することにした。
市教育委員会は学校プールの老朽化について、「財源が限られるなか、校舎、体育館など、学校施設全体の整備を総合的に考えねばならず、優先順位が必要になる」とする。学校プールが授業で使われるのは夏の短期間だけだが、建て替えには1校で1億5千万円程度かかる。そのまま使い続けるにも、維持管理には水道代、消毒薬剤、水質検査、濾過器の点検のほか、部分的な修繕費も含めて1校平均で年に70万~80万円ほど必要だ。大規模修繕があると、1校で1千万円以上が見込まれる。
民間施設を活用すれば、契約内容にもよるが中長期的に費用は抑えられるという。屋内プールだと天候の影響を受けないメリットもある。学校プールの維持管理を担う教員の負担が減り、働き方改革にもつながるという。
コロナ禍で実施できぬ例も
半面、児童生徒の移動や、市…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル