東京五輪の開会式で、スタッフ向けの弁当4千食が廃棄されるなど、大量の食品ロスが発生していたことが問題になった。
廃棄を減らすにはどうすればいいのか。ラグビーワールドカップ(W杯)などスポーツの国際大会で食品ロス対策の調査に関わり、五輪前は大会組織委員会も加わった食品ロスを減らすための講習の講師もつとめたみずほリサーチ&テクノロジーズの主任コンサルタントの小林元さんに聞いた。
大会規模が大きいゆえの難しさ
――五輪で弁当の大量に廃棄されるという残念な問題が起きました。防ぐことはできなかったのでしょうか
五輪の場合、ほかの国際大会と比較しても桁違いに注文する量が多いということが、大きな問題です。報道によると、大会組織委員会は、国立競技場の開会式で1万食を発注しています。ロットが大きいと、当然、キャンセルや変更できるタイミングがどんどん前倒しになり、調整が利きにくくなります。
組織委は、「開会式の3日前に発注した」と言っていますが、この量だと、恐らく事業者にはそれより前に大枠の予告をしておかないと準備ができないので、事業者も前から食材の発注をしていると思います。目につきやすい場所で弁当が廃棄されると、「キャンセルすればよかったのに」と思いがちですが、キャンセルした場合、仮に競技場でのロスは減らせたとしても、工場など事業者内で廃棄することも考えられます。そうなると、結局は廃棄する場所が変わるだけになってしまう。
全体を見たときにロスを減らすのは、そう単純な問題ではありません。
――余った弁当を寄付すればよかったのでは、という意見もあります
気持ちはすごくよく分かりま…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル