部員が少なかったり、専門の指導者がいなかったり。大編成での演奏が難しい中学校の吹奏楽部員たちが集まって結成された「オーケストラ」の動画が、ユーチューブで公開されている。メンバーは東京都大田区内の中学生60人。新型コロナウイルスの影響で、目標だった大ホールでの演奏会は中止になったが、動画からは吹奏楽の人気曲「宝島」のメロディーに乗って、体中で演奏を楽しんでいる姿が伝わってくる。(北沢拓也)
指揮者の合図に合わせて、リズムを刻むパーカッション。手拍子に続いてサクソフォンのソロ、トランペットとトロンボーンの迫力あるメロディーライン……。動画では、10分割された画面に「宝島」を演奏する生徒たちの姿が次々と映し出されていく。制服も、背景の音楽教室もバラバラだ。
演奏するのは、「大田区JHSウインドオーケストラ」。JHSは、Junior High school Student(中学生)の略。メンバーは大田区内の別々の中学校に通う吹奏楽部の生徒たちだ。
コロナの感染対策で全員が集合しての撮影を見送ったため、動画は学校ごとに収録した映像と音源を編集し、作り上げた。演奏している場所は違うが、生徒たちはイヤホンでリズムをとっており、息はぴったり。演奏中の真剣な表情と、合間に見せる笑顔が印象的だ。
小規模の吹奏楽部員でも 「大バンドの迫力を」
生徒たちが集まっての「オーケストラ」活動は、吹奏楽部の支援を目的に、公益財団法人・大田区文化振興協会と区教育委員会の事業として2017年度に立ち上げた。
参加メンバーは、部員数が少ない中学を中心に、区内の中学校から希望者を募る。プロの演奏家が講師となって指導し、例年9月から月1回ほど練習を重ね、翌年3月に演奏会を開いてきた。しかし、19年度は、コロナ禍で活動が途中で打ち切りに。20年3月に予定されていたホールでの演奏会も中止になった。
そこで企画されたのが、動画…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル