北九州市に拠点を置く特定危険指定暴力団・工藤会のトップに死刑判決が言い渡された公判の最大の焦点は、総裁の野村悟被告(74)とナンバー2で会長の田上不美夫被告(65)が実行を指示したことを裏付ける明確な証拠がない中、実行役との共謀が認められるかだった。
判決は、幹部組員らがほぼ毎朝、野村被告宅で正座して出迎えたなどとする元組員らの証言を採用し、工藤会が「厳格な序列の定められた暴力団組織」と認定。そのうえで、野村被告について「実質的に最上位の立場。工藤会の重要事項についての意思決定に関与していたことが推認できる」とした。
元漁協組合長射殺(1998年)と、歯科医師刺傷(2014年)の2事件は、被害者側の利権に関心を抱いたことが動機だったと認め、複数の組員が計画的に動いていたことから、意思決定には組織の上位者だった両被告の関与があったと指摘した。ほか2事件も「組員が両被告に無断で起こすとは到底考えがたい」との判断を示した。
量刑も注目を集めたが、結果は極刑だった。
「極刑の選択がやむを得ないと認めるほかはない」
判決はその理由について、「…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル