北海道内の新型コロナウイルスの感染状況や緊急事態宣言をめぐる政府の方針について、札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)に聞いた。
――道内の現時点の感染状況を、どのように分析していますか。
「北海道に3度目の緊急事態宣言が出された少し前の8月24日ごろから、新規感染者は安定的に減少傾向にあり、現在もその傾向が続いています。感染者数が多い札幌市もそれ以外の道内地域のいずれも、減少の速度はかなり速く、減少の鈍化や再増加の気配は、今のところ見えません」
――それでも、政府は今月12日までの緊急事態宣言を、30日まで延長するとしました。
「道内での感染再拡大に関する懸念材料は現時点で見当たらず、今後も安定して減少傾向は続くと予想しています。ただ、再拡大を防ぐためには、引き続き外出自粛要請や飲食店の時短要請など一定の対策を講じる必要があります」
「私自身は、北海道の感染状況を見れば緊急事態宣言から強い措置を一段落としたまん延防止等重点措置に切り替えると思っていました。確かに、現在の道内の感染状況を示す数字の多くは、国の指標で緊急事態宣言を出す目安となるステージ4を超えています。医療体制の逼迫(ひっぱく)度や感染状況の再びの悪化などを想定し、厳しい措置を継続するとの方針は理解できます」
「一方で、今の安定的な減少傾向を国がどう評価したのかは分かりづらい。コロナ患者数が日々数百人単位で減少している現状を鑑みると、緊急事態宣言のもつ意味が、ますます分かりにくくなっているというのが率直な感想です。政府の事情もあるのかもしれませんが、緊急事態宣言を出すのが遅く、終わらせるタイミングも明確でないという印象は否めません。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の位置づけがあやふやなことが問題ではないでしょうか」
――政府は、ワクチン接種が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル