「気候非常事態宣言都市にして下さい!」「2030年までにNDC(温室効果ガス削減目標)60%達成を!」「私たちの未来を私たちで作ろう」
制服姿の生徒たちが、画面に向けてメッセージを掲げる。9日、浜松開誠館中・高(静岡県)の生徒が企画したオンラインイベントでのことだ。気候危機について、若い世代の声を政治に届けようと呼びかけた。国内の中高生のほか、呼びかけに応じたモンゴルの高校とも中継をつないだ。
浜松市では昨年8月、国内最高気温に並ぶ41・1度を記録。2018年には台風で大規模停電も起きた。夏場、屋外での部活動も年々厳しくなっている。同校では2年前、生徒らの発案で市内でデモ行進「気候マーチ」を開催。学校の電力を再生可能エネルギー100%でまかなうことも決めた。
日本は菅政権の下、昨年10月に、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)を宣言。国連に30年度に13年度比46%削減するという目標を提出した。国会では昨年11月、地球温暖化対策に国を挙げて取り組む決意を示す「気候非常事態宣言」の決議が採択された。
ただ、選挙を前に、政治家の気候危機への考え方が見えてこない。「まだ大きな問題だと思っていないのか」。主な政党に、ダメ元でアンケートを出したところ、9政党のうち8政党から回答が来た。実行委員長の山田裕翔さん(高2)は「若者が真剣に考えていると思ってくれたのか、これから選挙権を持つからイメージを気にしたのかな」と振り返る。
尋ねたのは、①46%の削減目標の評価②効果的な排出削減対策③気候危機に対する各党や議員の活動、の三つだ。
46%減の目標について尋ねると、与党の自民・公明は「野心的」だと評価。日本維新は過度な規制による産業流出を招かないよう、技術革新と雇用創出を訴えた。一方、立憲民主と共産は、目標は不十分という立場だ。それぞれ55%以上削減、50~60%削減を目指すべきだと提言した。
生徒には物足りなかったようだ。佐々木涼翔さん(高2)は、党や議員の取り組みにがっかりした。紙やペットボトルを減らすなど、学校でもやっていることばかりだったからだ。「大人にしかできない、国会議員にしかできない規模で取り組んで欲しい」。上嶋波矢都さんは「46%目標」の実現に懐疑的だ。「無理してやっと届くレベルならやらない方がいい。未来を作るのは技術だ。次の技術への支援をお願いします」と訴えた。
スウェーデンの環境活動家グレタさんの学校ストライキをきっかけに火がついた若者たちの運動。今回は盛り上がってから初めての衆院選となります。記事の後半では欧州の環境運動に詳しい専門家に、日本で環境政策が争点になりにくかった背景や若者の主張がどう政治に影響するかについて聞きました。
政治や企業に対して「もどかしい」 動き始めた若い世代、政策提言も
深刻化する気候危機について…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル