今回の衆院選では、低迷する若者の投票率が上がるのかが、注目される。そこで朝日新聞仙台総局は、宮城県内で医療、飲食、農業、学生支援の各分野で活動する20~30代の若者4人を招き、座談会で率直な思いを語り合ってもらった。あなたの一票で政治は変わりますか、そもそも投票に行きますか――。
――これまでの選挙では、投票に行きましたか
【手を挙げたのは、成田さん以外の3人だった】
成田三郎さん(飲食店経営、24歳) 1回も行ったことない。そもそも選挙をどこでやっているかも分からない。
――知事選はすでに始まっていますが
成田 あ、はい。この前その話を聞いて、あ、そうなんだーって。
山城恵介さん(農家ユーチューバー、24歳) 国分町(仙台市の繁華街)に看板は立ってないですか?
《山城恵介さん》 宮城県加美町の農家の9代目でユーチューバー。米国留学後、20歳の時に就農。米作りや和牛繁殖の様子をユーチューブで発信している。
成田 国分町にはない。あ、あるのかな。
――行かなかったのはなぜですか
成田 自分の最終学歴は中学校。そもそも選挙の仕組みが分からない。行かないのがずっと習慣だったので。親と一緒に行ったこともない。
――ほかの皆さんは
山城 行っている。一票を投じる権利がある以上、民主主義国家なので、投票しておきたい、くらいの気持ちで。ただ選挙で何かが変わるとは思っていない。
選挙に関心「あるような、ないような体を装う」
――狐野さんはどうですか
狐野彩人さん(東北大2年、20歳) 選挙権の年齢が下がったので、18歳の時に投票した。その1回だけ。北海道から出てきたので、住民票の兼ね合いで、仙台では投票できない。
《狐野彩人さん》 東北大2年。学生支援団体「はぐね」代表。コロナ禍で孤立したり、生活苦に陥ったりしている学生の支援をしている。
18歳の時に何で行ったかというと、大学の推薦入試の面接では、「選挙に興味がありますか」と尋ねられると聞いたから。そこで選挙に関心があるとアピールするために。結局、僕は一般入試だったんですけど。
僕は今、学生たちに食料を支援する団体にいるけど、政治が絡んでいるイメージを持たれたくない。「危ない人」と思われる。でも「無関心」と言うと、「大学まで行っているのに」となる。その中間をどう攻められるかで、選挙に関心があるような、ないような体を装っている。
――不在者投票という仕組みがあり、仙台でも投票できますよ
狐野 あっ、そうなんだ。知りませんでした。
――遠藤さんは、3人の話を聞いてどう思いますか
遠藤麻由さん(看護師、30歳) 私が仕事で関わっている入院患者さんたちは、DVや経済的な理由で病院に来られなかったり、痛くてもひとり親だから子どもを置いて病院に来られなかったり。私たちは、そういう人たちを社会に戻す役割を担っているが、戻った先の社会が生活しやすい場でないと、また病院に戻ってくる。
コロナの後遺症で仕事を続けられなくなったり、治療費が高額で治療を中断せざるを得なくなったりする可能性もある。弱者が生きやすい社会にするにはどうしたらいいか考えたら、政治にアプローチするのが最も早く、正しい手段だと考えている。
人口少ない若者の1票「価値は低い」
――山城さんは選挙で何かが変わるわけではないと話されましたが、遠藤さんはどうですか
遠藤 私の一票は確かに小さ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル