持っていた電子マネー(電子ギフト券)の残高が突然「ゼロ」に。記者は一昨年、そんな経験をした。何が起きたのか当時は判然としなかった。だが、警察が最近摘発した事件から、背景にあるとみられる犯罪の手口の一端が見えてきた。
「お客様のギフト券残高を無効にしたことを、お知らせいたします。Amazonギフト券利用規約に違反する行為がありました」
2019年の冬、ネット通販サイトのアマゾンからこんなメールが記者(小寺)に届いた。
慌ててアカウントを確認すると、サイト内で現金代わりに使える「ギフト券」の残高がゼロになっていた。ギフト券は電子マネーの売買サイトで額面より約2割安く買ったもので、アカウントに登録したばかりだった。
メールのリンク先には「禁止行為」として売買サイトの利用も挙げられていた。「再発行および返金はしない」とあり、同様の行為が続けばアカウントそのものを停止する可能性も示唆していた。売買サイトは「節約術」を紹介するネット情報などで知った。お得に買い物したつもりでいたが、以降は売買サイトの利用はやめた。
違法でなくても、発行元「不正入手」
なぜ、こうした対応が取られるのか。
国民生活センターなどによると、ネット通販で使える電子マネーはプリペイドカードの一種。ネットやコンビニで購入してコード(番号)を入手すれば、自分のアカウントに登録したり離れた場所にいる知人に送ったりできる。
国民生活センターには16年ごろ以降、売買サイトで購入した電子マネーをめぐり、「『不正入手』だとしてアカウントを停止された」といった相談が寄せられるようになったという。
売買サイトの運営自体は違法ではない。今も複数の運営会社があり、数十種類の電子マネーを額面より安い価格で売買している。アマゾンなど発行元の多くが売買サイトを通じた取引を禁じているのは、特殊詐欺に悪用されることがあるためだ。
発行元は独自の対抗策として…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル