桑原紀彦、狩野浩平、上野創
あちこちで大学祭が行われる季節。昨年は、コロナ禍で多くが中止になったり、オンラインのみの開催になったりしたが、今秋は感染が収まっていることもあり、キャンパスに人を入れる「リアル開催」が復活しつつある。オンライン配信を組み合わせたハイブリッド型にする大学も多い。学生たちは感染対策に気を配りながら、コロナによる閉塞(へいそく)感を打ち破り、表現する場をつくろうと苦心している。
事前予約にしたらアクセス殺到
キャンパス入り口近くの屋外ステージで、華やかな衣装の学生たちが息の合ったダンスを披露する。観客が拍手を送る脇では、ビデオカメラとパソコンで動画を同時に配信――。
埼玉県所沢市の早稲田大学所沢キャンパスで10月24日にあった「所沢キャンパス祭2021」。事前予約者限定だったが、2年ぶりに、構内に人を入れる形で開催された。
輪なげや射的を楽しめる部屋、高校生と保護者向けの公開体験授業などもあったほか、オンラインでは、卒業生である陸上選手の寺田明日香さんと元プロ野球選手の江尻慎太郎さんの対談や、在学生が構内を案内するツアーの動画なども配信された。
「ここまで大変でしたが、天気がよくてほっとしました」と実行委員長の尾崎篤さん。
昨年は中止の可能性もあるなか、先輩たちが中心になりオンラインで開催した。自身も委員として関わったが、事前の打ち合わせもオンラインで十分とはいえず、初めての配信に戸惑いもあった。
また、厳しい感染対策のため、当日、構内で配信作業をする実行委員の人数すら絞らざるを得なかった。参加団体からは、無観客でカメラに向かってパフォーマンスをすることについて、「やりづらい」との声も聞こえてきた。
「予算と能力が限られるなか、仕方がなかった。なんとか無事にできてよかった」と尾崎さんは話す。
今年は来場者ありの形での開…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル