磯部征紀、小川崇
東京都内を走る京王線の電車内で10月31日夜、乗客が切りつけられるなどして17人が重軽傷を負った事件の発生後、電車は国領駅ホームで停止したが、停止位置がずれたため電車のドアやホームドアは開かず、乗客は窓から避難した。
国土交通省や京王電鉄によると、電車が調布駅を出発した後、乗客が車内の非常通報装置で通報。運転士は本来停車しない国領駅で止まるため低速走行を始めたが、乗客が、手動でドアを開けられるようにするドアコックを操作。さらに減速して停車位置から2、3メートルずれて止まったため、いずれのドアも開かなかった。手動操作もできるが、駅係員は乗客らが転落する恐れがあるとして見送ったという。
車両には防犯カメラはなく、男が刃物を持っていることがわかったのは停車後だった。運転士は運転室内にあった盾を持って現場に向かい、車掌は警察官を車内に誘導した。
今回の事件を受け、国交省は1日、全国の鉄道会社に対し、安全確保の徹底を求める通知を出した。駅構内などの巡回や、警備員らが電車に添乗して警戒を行うことなど警戒監視体制の徹底を求めている。
今年8月に小田急線の車内で乗客が重軽傷を負った刺傷事件を受け、国交省は9月に安全確保の対策を取りまとめて公表し、防犯カメラを増やすなどの警備強化を鉄道会社に促してきた。こうした対策も踏まえ、警察と連携した安全確保を求めている。(磯部征紀、小川崇)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル