小児看護専門看護師 萩原綾子さん
脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)で入院していたアリスちゃん。両親は、気管切開なしでの退院を望んでいましたが、神奈川県立こども医療センターで、高度な在宅医療を導入する際に多職種が集まり検討する「在宅医療審査会」の結論は「ノー」でした。
審査会では、合計3度検討されました。審査会に先立ち、主治医の小坂仁医師らは、SMAを積極的に診ているアメリカの医師や、NPPV(鼻マスク型の人工呼吸器)の第一人者の医師らとやりとりをしました。しかし、結論は3回とも「気管切開なしでの退院は難しい」でした。
2006年のクリスマスのころ、アリスちゃんが2歳半になるとき、小坂医師は両親にその結論を伝えました。しかし、両親の考えは変わりませんでした。「改めて家族は気管切開を希望しない」と冷静に伝えてきました。そして「在宅医療審査会でだめだという結果でも、帰る方法があるなら、連れて帰りたい」という要望が出されました。
年が明け、1月中旬に小坂医…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル