さまざまな事情で義務教育を修了できなかったり、不登校などで学校に通えなかったりした人たちの受け皿となる公立夜間中学が来春、福岡市に開校する。公立校は九州や山口、沖縄では初めて。学び直しの場としての期待が膨らむ。
11月20日、福岡市早良区の市教育センターで、公立夜間中学の説明会が開かれた。若者から高齢者まで50人以上が参加し、今後のスケジュールなどの説明を聞いた。教科書も展示された。
参加した国分愛紗妃(あさひ)さん(20)=福岡県宇美町=は、中学時代は病気で通えなかった。「勉強をやり直したいが、一人だと何にどう手を付けるべきかわからなかった。公立の先生がついてくれるのが魅力」と期待する。市内在住が条件のため、転居を考えている。
公立夜間中学は、戦後の混乱期に貧困などを理由に生まれた。近年は、不登校などで十分な教育を受けられずに中学を卒業した人のほか、本国で義務教育を受けていない外国人らの受け皿にもなっている。
2016年に教育機会確保法が成立した後、文部科学省が各都道府県と政令指定市に「少なくとも1校」の目標を掲げたことで、全国で設置に向けた動きが広がりを見せている。
福岡市は今年4~5月、アンケートでニーズを調べた。その結果、256人のうち196人から入学を希望する回答があり、10~40代が8割強だった。
中学卒業者は152人で、うち卒業したが十分に通えなかったのが49人。入学を希望する理由として約6割が「中学の勉強をやり直したい」「進学・就職したい」と回答した。国籍別では日本が8割強で、外国籍の上位は中国、韓国、ネパール、ベトナム、フィリピンだった。
こうした結果から、市は来年4月の開校を決めた。入学条件は、義務教育を十分に受けられなかった15歳以上の市内在住者で、国籍は問わない。修了すれば中学卒業の資格を得られる。
学校施設は説明会のあった市教育センターの一角を改修して利用し、授業は週5日で1日4時限。授業時間やクラス編成などは習熟別に柔軟に設定する。
文科省によると、公立夜間中…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル