18歳以下の子どもへの10万円給付で、現金5万円とクーポン5万円分を組み合わせる政府方針について、神奈川県の黒岩祐治知事と、千葉県の熊谷俊人知事は10日、相次いで異論を表明した。東京都の小池百合子知事は「区市町村が混乱することのないよう、国として早期に具体的な基準を」と注文した。
黒岩知事「クーポンで事務経費、労力が市町村にかかる」
神奈川県の黒岩知事は10日、県庁で記者団に対して、政府から来年6月末までにクーポン給付が開始できない場合に限り現金給付を可能にすると説明を受けているが「各市町村の要望としては、こういった条件をなくしてほしい」と述べた。10万円を現金で給付したいという声が市町村から出ていることを国に伝えていく考えを示した。
県によると、県からの問い合わせに9日午後9時時点で県内33市町村のうち16市町が回答。現金支給や自治体の裁量を求める声が多いという。黒岩知事は「クーポンにすることで事務経費、労力が市町村にかかる。現金にというのが生の声だ」と語った。
給付自体については「コロナ禍で苦しんでいる方がたくさんいる。なるべく早くお届けするのがいい」と評価。その上で「本来なら10万円一括というのがいいとは思うが、間に合わないのであれば現金5万円、5万円というのが一番シンプルでいい」とも話した。
熊谷知事「給付自体、そもそも懐疑的」
千葉県の熊谷知事は10日、自身のフェイスブックを更新し、「国民の税金の多くを事務経費に回し、かつ最前線でコロナ対応などに取り組んでいる市町村の稼働を増やさないで頂きたい」とクーポン給付案を批判した。
さらに、熊谷知事は「この間、県内外の市長と話してきたが、現金給付一択で、クーポン券でいきたいと考えている市長は一人もいない」と指摘。「現金給付は貯蓄に回る、だからクーポン券、という発想はいい加減改めるべきだ」として、自治体側が現金かクーポンか自由に選択できるよう国に求めた。
また、全額現金給付を選択可能とした岸田文雄首相の答弁と比較して、「事務方は『あくまで特殊な事例』と言い張っており、(自治体の)現場は混乱している」とし、「政府の建前とメンツを守るために国と自治体、それぞれの公務員が浪費している無駄な時間とコストを解消して頂きたい」と訴えた。給付そのものにも、「私は10万円給付自体がそもそも懐疑的」と主張した。
小池知事「今の状況、落ち着かせて」
一方、東京都の小池知事は10日の定例会見で、「基本的に各自治体が行うもので、それぞれの区市町村の事情を聴いて(給付を)進めるべきだ」と述べ、都として関与する問題ではないとの考えを示した。
そのうえで、給付の方法について、小池知事は「区市町村が混乱することのないよう、国として早期に具体的な基準を示して頂きたい」と指摘。現金を給付できる具体的な基準を示すことが「今の『どうするの』という状況を落ち着かせる一番の方法ではないかと思う」とも話した。(末崎毅、小木雄太、笠原真)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル